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人格障害の臨床実践を専門分野としている私(佐藤矢市)のブログへようこそ。
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親が私を手放したとき

読者のみなさん、こんにちは。今回もYさんに体験談をシェアしていただきます。今回、Yさんにシェアしていただくテーマは、「親離れ・子離れ」です。

 

子どもは、思春期や青年期に入ると、身体の成熟と共に、精神的な親離れをしなければいけない時期が訪れます

 

しかし、この時期までに、親から「無条件の愛」をもらえていない場合、親から物理的に離れ、自立していくことは、とてつもない不安と恐怖を伴います。そのため、親離れを拒んでいくことになります。

 

親側も、子供の成長を心から喜んでいれば問題ありませんが、内心で子どもが自立していくことに強い抵抗感や不安感を抱いている場合などでは、子どもの自立を拒んでしまいます(共依存関係が多いです)。

 

この様に、親離れや子離れというのは、精神的成長を果たしていく上で、重要なプロセスでもあるわけです。

 

Yさんの父親は、心を鬼にして、当センターにYさんを預けることを決心しています。

 

当時のYさんはどのように感じていたのでしょうか。

 

早速、見ていくことにしましょう。

 

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一回目は母親が家を出て行ったときです(母親が出て行ったとき参照)

 

二回目は父親が私をセンターに連れて来た時です。

 

今回は父親が私を手放した時の心境について書きたいと思います。

 

手放したというと聞こえが悪いですが、当時の私は両親から見放されたと思い込んでいました

 

記憶は曖昧ですが、車に乗ってセンターまで来たのは覚えています。

 

自分の中でもどうにかしなきゃという思いがありましたが、私は心理士でもないので治す方法がわかりません。

 

しかし過去にかかった心理士には嫌な記憶の方が根付いていました。

 

君は病気だと言い何が原因なのかを無理やり聞き出そうとする人や、薬の投与で抑えようとする人、閉鎖病棟に関しては人の扱いとは言えない環境でした。

 

しかし父親はHPの写真を見せてくれたり、今までの病院とは違うということを行きの車の中で話していた気がします。

 

私はそれよりも自傷したいとかタバコが吸いたいという欲求でいっぱいでした。

 

心のどこかでは何とかしなくちゃ、でも実際にはやり方が分からず欲求の方を優先する自分もいたことは確かです。

 

でも佐藤センター長と出会いカウンセリングを受け、自分の目でセンターの中を見た時の正直な気持ちは「家以外ならどこでも良い」という感じでした。

 

一週間後にはセンターに住み、慣れない環境で動いていましたが、やっぱり父親に電話をしたりメールをしてしまう日がありました。

 

心のどこかでは家にいたかったし病気に甘えていたかったのかもしれません。

 

でもその時の父親の態度は「もう少しいてくれ」という感じでした。

 

それを聞いた私はそんなに見捨てたいのなら見捨てればいいという気持ちになり、センターの生活を少しずつ自分なりに楽しむようになっていったのです。

 

スタッフや先輩研修生の方に色々迷惑をかけたり、支えて頂いたり、逆に相談を聞いたりと楽しいことばかりではなかったのが現状ですが。

 

でも今現在、好きなことや自分のやりたいことが少しずつ見つかり、迷いながらもいろんな人に支えてもらいながら生活しています。

 

あの時父親が私を家に戻していたら、今の私はいないでしょう。

 

両親がやったことは世間から見たら「どうして?」と疑問に思う行動かもしれません。

 

でも私には親と離れて自分を見直す環境が必要だったのです。

 

物事には意味があり、自分が成長するためには環境から逃げ出し、新しい環境で暮らすことも大事なのだと思いました。

 

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いかがでしたでしょうか?

 

Yさんにとっては、「」という環境から抜け出し、新しい環境で自分を見つめ直すことが必要だったわけですね。

 

何でも自分の思い通りにいっていた自宅から離れ、集団生活を強いられるセンターでの生活は、特に最初の数カ月は苦しいものです。

 

Yさんの場合もそうでしたが、その間、親に幾度となく連絡を入れ、「帰りたい・・・こんなところは私に合わない・・・早く出してくれ!」と訴え続ける研修生も少なくありません。

 

何でも自分の思い通りになっていた本人からすれば、ごもっともの意見です。

 

しかし、この時期で一番問われているのは、実は本人ではなくなのです。

 

親が「一度決めた決断を貫き通せるか?どこまで本気に子どものことを思って、センターに子どもを預けているのか?」その所を子どもは見ているのです。

 

ライオンが可愛い我が子を崖から突き落とし、自分で這い上がってくることを信じて待つのと一緒です。

 

これは、お互いに辛いことですが、これこそが親離れ・子離れのプロセスなのです。

 

この段階を通り過ぎない限り、次のステップには進むことができません。

 

次のステップというのは、Yさんの体験談にも書かれていましたが、横のつながり、つまり、研修生同士での楽しみや喜びを見出すようになってくるのです。

 

またYさんのように、自分のやりたいこと、やりたかったこと、趣味などを見つけ出す研修生もいます。

 

それもそのはず、今までは親のことで頭がいっぱいだったのが、そのエネルギーを他の物、より健全なものに使えるようになるわけですから。

 

次回も、Yさんに貴重な体験談をシェアしていただく予定です。

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