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人格障害の臨床実践を専門分野としている私(佐藤矢市)のブログへようこそ。
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本当は「何をしたいのかがわからない」PDたち

私は、臨床現場で、多くのパーソナリティ障害者を抱えるご家族から、「どうしてこのような子どもになってしまったのか?生育歴や母子関係に問題があったのか知りたい・・・」などとしばしば質問をされます。

 

親の立場で反省もあるでしょうが、今彼らにとって必要なこと、考えなければならないことは、「因果論」ではありません。

 

「どういう原因があって、こういう結果になったのか?」という発想は、現代の科学的な発想だと思いますが、人間の心を考えるときに、この「因果論」ではうまくいかないんです。

 

だから、私たちはよく犯人探しをして「お母さんが悪い」とか、「家庭が悪い」とか、「弟が家庭内暴力だったからこうなったんだ・・・」などと結論付けてしまい、何となくわかったような気がしてきますが、実際には何の解決にも至っていないことがしばしばあります。

 

一番大事なことは、子どもがとんでもない行動をしていても、その子は、「本当は何をしたいのか?何を望んでいるのか?」を考えることなのです。

 

結局、本当にしたいことができないから・わからないから色々な問題行動をやっているのです。

 

自分が自分らしくなれない葛藤があったり、もう少し言えば、「本当に自分が自分らしくなるために、お母さんを殴っている」のです。

 

なかなか子どもの心理を理解するのは難しいかもしれません。

 

子どもから殴られ、蹴られ、暴言を吐かれている時などは、特に彼らの心を理解しようとすることは困難であり、何より自分たちの身を守ることで精いっぱいです。

 

数々の問題行動を繰り返し、周囲を振り回している子どもたちの多くは、「自分の苦しさを分かってほしい。この世の苦しみから解放されたい。今の自分をそのまま受け入れて欲しい。もっと自分の頑張りを認めてほしい」と願っているのです。

 

私は、子ども達と面接する際に、「どうしたら、あなたらしくなれるんでしょうか?あなたらしい人生を送れるのでしょうか?それを真剣に考えていきましょう」とお伝えします。

 

犯人探しは、できるだけしないようにしています。

 

もちろん過去の親子関係とか、家族構成とか、病理についてとか、キャリアとか、そういったことも当然、押さえておきますが、「誰が悪い。こんなことがあったからこうなった」などのように因果論を追及し続けることはしません。

 

人間というのは必ず「何かを求めて生きている」のです。

 

あるボーダーラインの女性は、摂食障害から始まり、SEX依存、恋愛依存、クレプトマニア、自傷行為など数々の依存行動を繰り返していましたが、彼女が最終的に一番求めていたものは、高価な食べ物や飲み物、仕事の業績や地位、異性関係ではなく、母親からの「お前はそのままでいい」という言葉だったのです。

 

彼らと共に生活し、接している中での私の一番の楽しみは、彼らが「本当に求めているもの」を「パッ」と捕まえてあげること、そしてそれを親に翻訳していくことです。

 

特にパーソナリティ障害の人たちと接する時は、この「本当に求めていること」をつかまえることは至難の業ですが、私にとってワクワクする作業なのです。

 

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