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人格障害の臨床実践を専門分野としている私(佐藤矢市)のブログへようこそ。
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人格障害の基本症状5: 怒りや破壊的な感情に巻き込まれ、行動化を起こしやすい

みなさん、こんにちは。
今日は、最後の基本症状について解説していきたいと思います。

 

人格障害の人は、日常生活で起こる様々な出来事やそれに伴う感情を一つ一つ処理していく能力が弱い所があります(いつもではありません)。

 

心という装置の許容量がとても小さいため、些細な出来事や自分の思い通りにいかないことがあるとすぐに許容量を超えてしまい、突然混乱状態におちいってしまったり、解離した状態になってしまいます。

 

いったん、許容量を超えてしまうと、もう心で処理することができなくなってしまい、心のバランスが崩壊してしまいます。

 

その結果、突然自分を傷つけるような衝動に駆られたり、自分や相手を損なうような破れかぶれの行為に走ってしまいます。
大量服薬(OD)や自傷行為・自殺未遂(リストカットやアームカット)、アルコールやセックスなどの依存行動などに走ってしまうことも珍しくありません。

 

突然今まで順調に取り組んでいたものを全て台無しにしてしまったり、周りからみると理解不能のような行動の背景には、心のバランスを崩している状態が考えられます。感覚としては、全てリセットしてしまうような感じです(これは基本症状1と関連しています)。

 

 

ある20代の女性は、バレンタインデーの日に彼氏に手作りチョコレートを渡そうと待ち合わせをしていましたが、待ち合わせ時間を過ぎても彼氏はいっこうに現れません。

 

 

待ち合わせ時間を3分過ぎたころに、彼から15分遅れるという連絡が入りました。

 

 

その連絡を受けた女性は、予定通りに彼が来ないこと、連絡が3分も遅れたことを根に持ち、突然「もう別れる!」と言って、手作りチョコをゴミ箱へ捨ててしまいました。

 

パニック状態になった彼女は、アパートに帰宅後、大量に薬を飲んでしまい(OD)、彼氏に発見され病院に運ばれることになりました。

 

彼から話を聞くと、待ち合わせではいつも彼女の方が遅刻をしてきて、1時間以上も待たされることはざらにあるといいます。

 

この日はたまたま仕事の都合で、遅れただけのことでしたが、予定が急に変更されたこと、自分の思い通りに彼が行動しなかった状況に、心が対応しきれずに、全てをリセットしたい衝動に駆られ、ODを行ってしまう結果になりました。

 

この女性のように、人格障害の人は、その瞬間には理性の歯止めが利かなくなり、記憶が飛んでしまったり、まるで別人のような行動を引き起こす事もあります。

 

こういった状態も心の器がいっぱいになりすぎて、処理機能が追いついていかないということです。

 

 

この心の器を大きく丈夫なものに成長させていく事が大切です。

 

これも突然成長するものではなく、段階を追って、少しずつ変化してくるものです

当然、安心感信頼感を抱けるようになることが大前提です。

5 Responses to “人格障害の基本症状5: 怒りや破壊的な感情に巻き込まれ、行動化を起こしやすい”

  • たく:

    すいません。
    読ませていただきました。
    自分も人格障害じゃないかって思うんですが、
    破壊的な感情が奥にある気がします。

    日常生活で起こる様々な出来事やそれに伴う感情を一つ一つ処理していく能力を高めると良いという事だと思うのですが、

    具体的に私は何をやれば、その能力が高まりますでしょうか?

    • admin:

      コメント拝見しました。

      人格障害の場合、破壊的な感情に飲み込まれてしまうというのが典型的な例です。
      飲み込まれてしまってからでは、行動を制御するのは至難の業です。

      大事なことは、たとえ飲み込まれてしまい破滅的な行動を取ってしまったとしても、その後にどういった感情が沸き起こり、そのキッカケは何であったのか、
      冷静に振り返ることです。最初はうまくできなくても構いませんので、継続してみて下さい。

      回復者の中にはノートに「出来事」「考え」「気持ち」「行動」などカテゴリーに分けて、毎回の行動を振り返っていた方もいました。
      高望みせず、うまくいかなくてもあきらめない姿勢と継続し続けることがその能力を高めていく近道になります。

  • たく:

    詳しく教えていただきありがとうございました。

    冷静に振り返ること。
    少し前からやってみているので、この方法で良かったんだと自信が持てました。冷静に振り返り分析して諦めないで繰り返し能力を高めていきたいです。

    ありがとうございました。

  • 喜田:

    23歳の経度知的障害のある娘のことです。日常の生活は自分でできます。意識も高く、周りの状況に敏感ですが、精神年齢は小学校の低学年くらいです。とてもアンバラスと言われています。支援高等学校の厳しい指導から、症状が始まりました。(ほかにも原因は私にもあるともいます)主なことは、私(母)への暴力、作業所就労が続かず、転々としています。ここ1年ほどは、自宅で、特に何もせずの状態でした。私の子供の気持ちに沿いすぎた態度がさらによくなかたっと思います。暴力がひどくなりましたので、7月10日に精神科に1か月間の入院となりました。以前ですと、病院に行くのはとても嫌がりましたが、今回は拒否せず入院しました。入院前は、仕事がしたいが、続かない、どうしたらいいんやと、怒りながら言っておりました。私が、はっきりと決めかねて、断言できなかったことが悪かったと思います。プライドが高い娘に退院後、普通の就職先は無理だから、作業所で頑張ろうと言い続けることができるか、暴力に耐えられるか、とても不安です。主人が話に加わったり、暴力に仲裁にはいると、さらに興奮しますので、私だけの対応になっています。入院ご、毎日面会に行っていますと、退屈だから早く帰りたいと言っていました。心の中では捨てられたと思っているのではと、それも不安になります。ご指導くださいませ。どうぞよろしくお願いいたします。

    • admin:

      コメント拝見しました。

      まず、印象としては、お母さんと娘さんの心理的距離がとても近く、共依存関係に近いところがあるのかもしれません。
      今回の入院に否定を示さなかったことからも、娘さんの心の中には、少なからず「このままではいけない。なんとかしなければ」という焦り感みたいなものがあるのでしょう。
      確かに、お母さんの断固とした姿勢は大事ですが、暴力に耐え続けることは逆効果であり、娘さんの罪悪感を強めてしまう結果になるでしょう。
      退院後、普通の就職先にするのか、作業所にするのか、お母さんが言い聞かせるのではなく、本人に決めさせてください。
      場合によっては物理的に離れるという選択肢を取ることも必要かもしれません。
      一度、私のところへ相談にお越しになられてみてはいかがでしょうか。
      親としての心構えや娘さんへの接し方のコツをお伝えできると思います。
      娘さんの年齢から考えても、まだまだ可能性はあります。あきらめないでください。

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